新型コロナウイルスの漢方治療について(その1)ー新型コロナの漢方治療で大切なことー
- 峯 尚志
- 2024年3月20日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年3月21日
2019年12月に中国武漢ではじまった新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界中に広がり、パンデミックを繰り返し、多くの人の命を奪いました。幸いなことにウイルスは徐々に弱毒化し、2023年5月より感染法上の位置づけが2類から5類への変更となりました。本論はまだウイルスの毒性が強かったアルファ株、デルタ株流行の時期に書かれたもので、軽症化した現在とはウイルスの特性が著しく異なっています。当時のウイルスはACE2レセプターを介してウイルスが発病初期より肺胞を超えて間質に侵入し、間質性肺炎をおこし、多くの患者さんの命を奪いました。急性感染症の東洋医学的治療原則は辛温解表あるいは辛涼解表で『発表』によりウイルスの駆逐をめざしますが、新型コロナウィルスは病初期から間質である少陽に侵入するため、解表治療のみでは、ウィルスに対抗できず、発病早期から柴胡剤を併用し、生体の過剰な闘病反応であるサイトカインストームを予防する必要があります。現在のオミクロン株は感染力こそ強いものの、間質に侵入する力は弱く、重症化のリスクが軽減し、解表治療を中心として、難しい治療戦略は不要となりましたが、アルファ株、デルタ株の流行は、疫病化した感染症の治療を考える上で、参考になることも多いと思われるので3回に分けて論説をします。
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