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​口の渇きと益胃湯​ シェーグレン症候群における​益胃湯の著効例​ 

  • 峯 尚志
  • 2024年6月21日
  • 読了時間: 2分



東洋医学では患者さんが口がかわくと訴えたとき、それが喉が渇いて実際に水を飲みたい状態なのか(口渇)、口の中が乾いて口の中を湿らせたいだけなのか(口乾)を、問診で厳密に区別します。 

口渇の場合の治療は水を飲むことです。ただし、胃腸炎などで、脱水の傾向が強いときは、一度にたくさんの水を飲んでも、飲んだ水以上に噴水の様に嘔吐する場合があります。

このような場合は、五苓散の適応です。さらに脱水がひどい場合は輸液が必要になりますが、五苓散の服用によって少しずつ水分がとれて輸液をせずにすむ場合もあります。 

 口が乾燥して喉を湿らせたいだけの場合、口乾と表現します。東洋医学では口乾は口腔粘膜の陰液の虚を示します。外界に接する皮膚や(口腔)粘膜の乾燥は東洋医学では肺胃の陰虚証と表現されます。 

今回は、唾液の分泌が十分にできないシェーグレン諸侯群の症例を提示升します。シェーグレン症候群は自己免疫疾患のひとつで、唾液腺に炎症をおこすと、唾液の分泌ができなくなります。舌も口腔粘膜も乾燥し、よく見ると皮膚も乾燥している場合が多いです。 

シェーグレン症候群は水が足らないことによって組織の炎症が酷くなるので、組織に水を補う処方の適応になるのです。 

このような場合には陰液を補う処方である、益胃湯や養胃湯を用います。いずれも津液を補う処方ですが、益胃湯は地黄を含み、陰液を補うとともに補腎し、清熱作用があるのが特徴です。そのためこの症例では地黄を含む益胃湯がより有効でした。ただし、現在は炎症がおさまり、より飲みやすい養胃湯の加減で処方を継続しています。 

 

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